不動産業界における企業弁護士の業務には金融知識が必須になりつつあります

バブル崩壊後、不動産業界は従来の枠に留まらず、ビジネス領域では金融業界との垣根も低くなってきている

1990年代初めのバブル経済の余韻が残る頃までは、土地価格は必ず上昇するもの、というある種の土地神話があったため、キャピタルゲイン(転売利益)を期待した不動産取得が一般的でした。ところが、バブル経済が崩壊した後は、この土地神話も崩れ去ったため、他の資産と同様に不動産も利用価値に注目して、収益還元法で評価する考え方が一般的になってきている現状があります。
そのため、不動産業界とは、不動産の利用価値を最大化することで、利益を生成するビジネスに携わっている業界、と定義することができます。
例えば、築古の中古マンションを安値で取得して、大規模リノベーションを実施して賃借人を入れ替えてインカムゲイン(賃貸利益)を確保しつつ、機を見て高値で転売してキャピタルゲイン(転売利益)を得たり、資金調達、ないし保有不動産の転売手法としてREIT(リート)などの不動産証券化手法を用いたり、従来の不動産業界の枠に留まらず、ビジネス領域では金融業界との垣根も低くなってきています。

企業弁護士に求められるスキルは、宅地建物取引法のほか、建築基準法関連の知識や金融商品取引業法に関する知見も必須

そのような情勢の中、この業界に身を置く企業弁護士に求められるスキルは、宅地建物取引法のみならず、建築基準法関連の知識も挙げられます。その前提として、建築に関わる技術的理解も必要なのですが、そもそも弁護士単独で技術面までカバーすることは困難なため、1級建築士など他資格保有者との協働も多くなっています。
また、不動産の証券化なども手掛ける大手不動産会社にあっては、金融商品取引業者の面も有するため、弁護士も金融商品取引業法に関する知見も必須となっています。

日々のルーチンワークは、アウトソーシングを進めて外部の法律事務所に外注するケースも多い

最近の傾向として、不動産ビジネスに関わるあらゆる局面に関与しますが、契約書のレビューなど、日々大量に発生するルーチンワークについては、アウトソーシングを進めて、外部の法律事務所に外注するケースも多くなってきました。そのような事情で、外部弁護士の業務遂行を支援・管理することが業務の大半を占める企業弁護士も増えています。
それでも、不動産分野と金融分野は、従来から弁護士の職域として代表的なものですから、今後も社外、社内を問わず、弁護士に対する需要が大きい業界であり続けるのは確実です。
不動産業界に籍を置く企業弁護士の特色ある業務として、以下のようなものが挙げられます。裁判外紛争解決手続への対応や、不動産・債権に関する処分手続、訴訟、強制執行など法的手続の管理やアドバイス、収益極大化を目的とする不動産ビジネスにおける戦略的なアドバイスや交渉サポート、さらには、最適な外部法律事務所の起用や管理などです。